【撤退障壁とは】企業が業界から撤退することの難しさ
企業が特定の業界に新規参入する際、そこには「参入障壁」が存在します。
参入障壁には、新規参入先の既存企業が持つ優位性や法規制などが含まれます。この「参入障壁」は経営戦略において広く知られている概念です。
一方で、業界からの撤退には「撤退障壁」という対照的な概念があります。本記事では、「撤退障壁」について特集します。
企業が事業・業界から撤退する必要性
事業環境の変化や競争の激化により、成長や収益の改善が見込めない、または競争優位性を失っている場合、企業は事業からの撤退を検討する必要があります。
戦略的には、成長性や収益性、競争優位性が低い事業から撤退し、将来有望な事業への投資を重視することが重要です。
事業・業界から撤退する難しさと撤退障壁
しかし、企業が既に行っている事業・業界から撤退するのは簡単ではありません。
撤退の難しさを示すのが「撤退障壁」です。撤退障壁が高い場合、業界全体が衰退していても、各企業はその業界から容易に撤退できず、結果として競争が激化することもあります。
撤退障壁の要因としては、以下が挙げられます。
【撤退障壁の要因】
雇用の問題:撤退する事業で働いている人々の雇用維持が困難な場合。
財務的な問題:短期的に売上が減少し、赤字が発生することに対応できない場合。
既存事業との関連性:その事業が他の事業と関連しており、撤退が他の事業に影響を与える場合。
取引関係者との関連:撤退により顧客、供給業者、販売業者などに迷惑をかける場合。
心理的な問題:撤退が従業員に心理的な影響を与える場合。
責任問題:経営層や事業責任者の責任問題が生じる場合。
これらの撤退障壁のため、企業は撤退の必要性を感じつつも、実際には撤退が困難な状況に陥ることがあります。「撤退障壁」は、企業が事業・業界から撤退する際に直面する多様な課題を示し、経営戦略の決定において考慮されるべき重要な概念と言えます。