抄録の書き方・注意点をわかりやすく解説!
学会発表や論文を投稿する際に必要となるのが「抄録」です。
この抄録ですが、書き始めるとどのような構成で書けばよいのか戸惑ってしまうことも多いです。抄録の書き方には一定のルールがあります。
この記事では、抄録とは何かについて、そして抄録の書き方を特集します。
抄録とは何か
まず、抄録とは何かについて取り上げます。
抄録とは一言でまとめると「発表する研究内容を短くまとめたもの」、「発表や論文の重要な部分を書き抜くこと。要約」といえます。言い換えれば、発表や論文の内容のまとめともいえます。
抄録の書き方
次に抄録の書き方についてご紹介します。
抄録は、一般的に①背景、②目的、③方法、④結果、⑤考察、⑥結語の構成から成り立ちます。抄録を書く際は、この構成を意識することが重要となります。順番に見ていきましょう。
①背景
抄録の背景は、学会発表や論文を執筆するに至った経緯(きっかけ)を記載します。
学会発表や論文を執筆するわけですから、そこには何かしらの特別な理由があるはずです。その特別な理由を考え、経緯や理由、学会発表や論文執筆の意義などを記載します。
②目的
抄録の目的ですが、背景をふまえて学会発表・論文で何を明らかにしたいのかを記載します。いわゆる研究テーマです。
学会発表や論文を意識した上で行われた事前的研究なのか、もしくは当初は全く予想していなかった特別な結果が得られたために発表・論文化することになった事後的研究なのかを意識して目的を記載するとよいでしょう。
③方法
抄録の方法では、目的を達成するために用いた具体的な方法を記載します。
目的として定めた研究テーマに対して、どのような方法で研究を行ったのかを具体的に記載します。方法では私見は一切入れず、事実のみを記載しましょう。
④結果
抄録の結果は、方法で取り上げた内容で実施した結果を具体的かつ客観的な数値でまとめます。
方法と同様に、できる限り私見は入れず事実のみを記載します。また結果の内容は数字で記載するなど、具体的かつ客観的に示すことが重要です。
⑤考察
結果をふまえて書かれるのが、考察です。
抄録の考察では、研究テーマの結果をふまえて今回の研究で何がわかったのかを記載します。今回の研究で分かったことが当初設定した目的に対してどうだったのか。この研究で分かったことの意義、新たな知見などを考察し、記載します。
⑥結語
抄録の最後は、結語で締めくくります。
抄録の結語は、まとめに該当し、全体の要約に該当します。今回の学会発表や論文の内容を要約する形で記載しましょう。
抄録の書き方のポイント
抄録は、ここまでご紹介した①背景、②目的、③方法、④結果、⑤考察、⑥結語の構成で作成されます(学会や論文によっては、考察と結語が一緒になることがあります)。
抄録を書く際のポイントですが、できる限り事実にもとづき客観的な内容で書くこと、そして具体的な数値を用いて書くことがあげられます。抄録は、主観的な意見や考えが入れば入るほど分かりにくくなり、聞き手に内容が伝わりにくくなります。
客観的な視点を担保するという視点では、学会発表する前や論文を投稿する前に同僚や知人などに見てもらう等の第三者の視点を取り入れることは有意義です。抄録を書く際には、この点も活用するとよいでしょう。