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高度プロフェッショナル制度とは?わかりやすく簡単に解説|労働基準法41条がわかる

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この記事では労働基準法で規定される「高度プロフェッショナル制度」について特集します。
高度プロフェッショナル制度をわかりやすく簡単にご紹介していきます。ぜひご参考下さい。

高度プロフェッショナル制度とは

労働基準法で規定される高度プロフェッショナル制度とは、何でしょうか?

高度プロフェッショナル制度とは、一定の年収要件を満たした専門的かつ高度な職業能力を持つ労働者を対象に労働時間にもとづいた制限を撤廃する制度です。具体的にその要件を確認していきましょう。

高度プロフェッショナル制度の対象業務

まず高度プロフェッショナル制度の対象業務をご紹介します。高度プロフェッショナル制度の対象業務となるのは、高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるものとして厚生労働省令で定める業務です。

具体的には金融商品の開発、金融商品のディーリング、アナリスト、コンサルタント、研究開発の業務が該当します。

高度プロフェッショナル制度の対象労働者

この高度プロフェッショナル制度の対象労働者ですが、対象業務を行う労働者でも対象となる労働者は限られます。具体的には下記の内容を満たす必要があります。

①使用者と書面による合意によって、職務(業務の内容、責任の程度、職務において求められる成果その他の職務を遂行するに当たって求められる水準)が明確に定められている労働者

②労働契約により使用者から支払われると見込まれる1年間の賃金の額が平均給与額の3倍の額を相当程度上回る水準として厚生労働省令で定める額(1,075万円)以上であること。

高度プロフェッショナル制度の採用要件

続いて高度プロフェッショナル制度の採用要件をご紹介します。高度プロフェッショナル制度は対象となる業務・労働者の要件を満たせばよいかといえばそうではありません。具体的には次のような取り決めを行う必要があります。

①事業場に労使委員会を設置し、労使委員会で委員の5分の4以上の多数による議決により所定の決議事項に関する決議を行い、その上で使用者が決議を所轄労働基準監督署長に届け出ること。

②書面等の方法により、対象労働者の同意を得ること。

③長時間労働防止措置を実施すること。

①の労使委員会とは、その名の通り労働者と使用者が設置する委員会です。また③の長時間労働防止措置とは次の3つの措置をさします。

1.健康管理時間の把握措置
健康管理時間を把握する措置(タイムカードによる記録、PCの使用時間の記録など客観的な方法に限る)を使用者が講ずること。
2.休日確保措置
1年間を通じ104日以上、かつ4週間を通じ4日以上の休日を使用者が与えること。
3.選択的措置
対象労働者に対し、次のいずれかに該当する措置を講ずること。
・労働者ごとに始業から24時間を経過するまでに11時間以上の継続した休息時間を確保し、かつ、深夜業をさせる回数を1ヶ月において4回以内とすること。
・1週間当たりの健康管理時間が40時間を超えた場合におけるその超えた時間について、1箇月について100時間を超えない範囲内とすること又は3箇月について240時間を超えない範囲内とすること。
・1年に1回以上の継続した2週間(労働者が請求した場合においては、1年に2回以上の継続した1週間)について、休日を与えること。
・1週間当たりの健康管理時間が40時間を超えた場合におけるその超えた時間が1ヶ月当たり80時間を超えた労働者等に臨時健康診断を実施すること。

選択的措置においては4つのうちいずれかの措置を講ずれば問題なく、すべての措置を講ずる必要はありません。また選択的措置の11時間以上の継続した休息時間を確保する措置を勤務間インターバルといいます。

高度プロフェッショナル制度は対象となる業務・労働者の要件を満たし、かつこの採用要件も満たすことで導入することができる制度です。さらに高度プロフェッショナル制度導入後は、6か月以内ごとに措置の実施状況を所轄労働基準監督署長に報告しなければいけません。

高度プロフェッショナル制度のポイント(まとめ)

ここまで労働基準法の「高度プロフェッショナル制度」についてご紹介しました。最後にご紹介した内容のポイントをまとめます。

【高度プロフェッショナル制度のポイント】

①高度プロフェッショナル制度は対象となる業務・労働者のみに導入することができる制度。
-対象となる業務は高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるものとして厚生労働省令で定める業務。
-対象となる労働者は使用者と書面による合意によって職務が明確に定められている労働者で、労働契約により使用者から支払われる見込み賃金(年間)の額が平均給与額の3倍の額を相当程度上回る水準として厚生労働省令で定める額(1,075万円)以上である者。

②高度プロフェッショナル制度を導入するために次の3つの採用要件を満たす必要がある。
-事業場に労使委員会を設置し、労使委員会で委員の5分の4以上の多数による議決により所定の決議事項に関する決議を行い、その上で使用者が決議を所轄労働基準監督署長に届け出ること。
-書面等の方法により、対象労働者の同意を得ること。
-長時間労働防止措置を実施すること。

こちらの内容を「高度プロフェッショナル制度」のポイントとして押さえておきましょう。

以上、この記事では労働基準法で規定される「高度プロフェッショナル制度」についてご紹介しました。ご紹介した内容が少しでもお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました!

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