「労働基準法の総則」とは!?条文とそのポイントを解説!
この記事では、「労働基準法の総則」の条文をまとめ、そのポイントを解説します。
短時間で要点を抑えることができ、全体像の把握や復習に最適です!ぜひご参考下さい!
第1条:労働条件の原則
【条文】
1 労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。
2 この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。
【ポイント】
〇 労働憲章的な内容。労働基準法各条の解釈にあたり基本の考えとして考慮する。
〇 社会経済情報の変動等他に決定的な理由がある場合には、労働条件を低下させても、第1条の規定に違反しない。
〇 第1条に違反しても罰則の適用は受けない。
第2条:労働条件の決定
【条文】
1 労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。
2 労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない。
【ポイント】
〇 労働条件は賃金、労働時間のほか、解雇、安全衛生、寄宿舎等などすべての労働条件が対象となる。
〇 第2条は雇入れ後の労働条件を示しており、雇入れ時(採用時)の労働条件は含まない。
〇 労働協約等の効力関係は法律≧労働協約≧就業規則≧労働契約。なお労働協約の有効期間を定める場合は最長3年。
第3条:均等待遇
【条文】
1 使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。
【ポイント】
〇 差別理由は国籍、信条、社会的身分に限定されている。
〇 第3条では性別があがっていないが、性別による差別はこの後の第4条「男女同一賃金の原則」及び「男女雇用機会均等法」で規制が設けられている。
〇 第2条同様、第3条も雇入れ時(採用時)の労働条件に含まれない。
第4条:男女同一賃金の原則
【条文】
1 使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。
【ポイント】
〇 労働基準法で性別による差別的取り扱いを禁止しているのは、賃金についてのみ。賃金以外の労働条件は「男女雇用機会均等法」により取り扱いが定められている。
〇 差別的取り扱いは不利に取り扱うだけでなく、有利に取り扱う場合も含まれる。
第5条:強制労働の禁止
【条文】
1 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。
【ポイント】
〇 第5条の労働関係は必ずしも形式的な労働契約により成立していることを要求するものでなく、事実上労働関係が存在すると認められる場合も含まれる。
〇 第5条には労働基準法上最も重い罰則が科されている(1年以上10年以下の懲役又は20年以上300万以下の罰金)。
第6条:中間搾取の排除
【条文】
1 何人も、法律に基づいて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。
【ポイント】
〇 「法律に基づいて許される場合」とは、職業安定法の規定に基づき有料紹介事業を厚生労働省の許可を得て行うものが所定の手数料を受ける場合など。
〇 「業として利益を得る」とは、営利を目的として、同種の行為を反復継続することをいい、1回の行為であっても、反復継続する意思が認められれば第6条に該当する。
〇 労働者派遣は、労働関係の外にある第三者が他人の労働関係に介入するものではないので、中間搾取には該当しない。
第7条:公民権行使の保障
【条文】
1 使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。但し、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる。
【ポイント】
〇 労働者が公民権を行使できたか否かにかからわず、請求を拒めば、労働基準法違反となる。
〇 公民権を行使した時間の給与については規定されておらず、有給にするか無給にするかは当事者間で決めることができる。
〇 公民権の行使に該当しない具体例として他の立候補のための選挙活動、個人としての訴権の行使があげられる。公の職務に該当しない具体例として、予備自衛官の招集、非常勤の消防団員の職務があげられる。
この記事では、「労働基準法の総則」の条文をまとめ、そのポイントを解説しました。最後までお読みいただき、ありがとうございます。